- 20代独身FIREの必要資産額は9240万円以上。
- 20代夫婦FIREの必要資産額は1億6300万円。
- 20代でのFIREは時間が味方するので長期目線での運用方針が基本となる。

FIREとは?意味と特徴
FIREは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取った言葉で、日本語では「経済的自立と早期退職」を意味します。
もともとはアメリカで広まった新しいライフスタイルで、欧米を中心に注目されていましたが、近年では投資ブームや働き方改革の影響もあり、日本でも急速に浸透しています。
FIREと早期リタイアの違い
日本では、FIREという言葉が登場する前から「早期リタイア」という概念は存在していました。どちらも定年前に仕事を辞めるという点では共通していますが、リタイア後の資産運用方法に明確な違いがあります。
- 早期リタイア:十分な貯蓄を確保し、その後は貯蓄を切り崩しながら生活するスタイル。
- FIRE:資産運用を行いながらリタイアし、その運用益や配当といった不労所得で生活費をまかなうスタイル。
このため、FIREは早期リタイアよりも必要貯蓄額が少なくても実現できる可能性があり、30代・40代といった若い世代からも支持を集めています。
FIREに必要な金額の考え方
FIRE達成に向けた必要資産額を算出するうえで、最も重要なのは「年間生活費」の見積もりです。正確に把握することで、資産額を無駄に増やしすぎず、逆に不足させるリスクも防げます。
生活費を試算する際は、以下の項目を考慮しましょう。
- 居住費:住宅ローンの有無、持ち家か賃貸か。持ち家でも固定資産税や修繕費は発生します。
- 食費:独身か夫婦かで大きく変動。外食の頻度や自炊習慣で年間数十万円の差が生じます。
- 光熱費・通信費:電気・ガス・水道代、インターネットやスマホ代。省エネ化や格安SIMで削減可能。
- 医療費・保険:年齢とともに増加する傾向。保険料も含めて計算する必要があります。
- 趣味・娯楽費:旅行や趣味活動など、生活の質を保つための支出。
- その他の支出:被服費、交際費、家電の買い替えなどの突発的な出費。
20代FIREに必要な金額
20代でFIRE(Financial Independence, Retire Early=経済的自立と早期退職)を目指す場合、30代や40代と比べて必要資産額は大幅に増加します。その理由は、退職後の生活期間が非常に長くなるためです。
例えば25歳でFIREを達成した場合、仮に90歳まで生きるとすると、65年間もの生活を資産運用と取り崩しで賄う必要があります。この長期間においては、インフレ・暴落・医療費増加などの不確実要素が何度も訪れるため、資産額はより多めに見積もる必要があります。
一般的なFIREの計算で用いられる「年間生活費 × 25倍」という4%ルールは、リタイア後30年程度を想定したものです。
しかし、20代FIREでは運用期間が倍以上になるため、4%ルールより保守的に考えた方がいいかもしれません。
加えて、20代でFIREを目指すには貯蓄率を極端に高める必要があります。そのため、手取り収入の50〜70%を投資に回すレベルの節約と副業・キャリアアップが前提条件になります。早期達成は可能ですが、達成後の長期安定を考えると、資産額は慎重に見積もるべきです。
独身で20代FIREする場合の必要資産額
独身で20代FIREを目指す場合、生活費は夫婦や家族持ちより抑えられますが、それでも必要資産額は非常に高くなります。
例えば、家賃8万円、生活費・食費8万円、光熱費・通信費2万円、その他4万円とすると、年間生活費は約264万円です。この生活水準を維持しつつ65年間生活する場合、インフレ・医療費・突発支出も加味して年間生活費 × 35倍で計算するのが現実的です。
すると必要資産額は約9,240万円となります。
さらに、資産を完全に取り崩す形ではなく、運用益を生活費の大部分に充てる「半取り崩し型」を採用すれば、資産寿命を延ばすことができます。
例えば年間3%の利回りを維持できれば、取り崩し額は年間200万円以下で済み、資産が減るスピードはかなり遅くなります。。
夫婦で20代FIREする場合の必要資産額
夫婦で20代FIREを目指す場合、生活費は二人分となるため独身よりも必要資産額はさらに増えます。
仮に家賃12万円、食費10万円、光熱費・通信費3万円、趣味・娯楽費5万円、その他4万円とすると、年間生活費は約408万円です。
この生活水準を維持し、インフレや医療費を考慮して年間生活費 × 35〜40倍で計算すると、必要資産額は1億4,280万円〜1億6,320万円程度になります。
夫婦の場合、生活費を分担できるメリットはある一方で、双方のライフプランが一致していないとFIRE後の生活が破綻するリスクがあります。また、将来的に子どもを持つ場合や介護などの家族負担が増える可能性も加味しなければなりません。
さらに20代での夫婦FIREは、資産運用だけに頼らず、片方が副業やパートなどの軽労働を継続する「サイドFIRE型」が現実的です。これにより必要資産額を2〜3割程度減らせる可能性があります。特に不動産賃貸やリモートワーク、副業による継続収入があれば、暴落時にも生活基盤が揺らぎにくくなります。
資産運用と取り崩し戦略
20代でFIREを達成するためには、単に資産を貯めるだけでなく、資産運用と取り崩し戦略の設計が不可欠です。
資産運用の目的は、FIRE後に長期間安定して生活費を賄うことです。
若いうちはリスク許容度が高いため、株式比率を高めに設定し、高成長を狙う戦略が現実的です。特にインデックス投資や米国株への長期投資は、歴史的に見て平均年利6〜8%程度のリターンが期待できます。ただし、暴落やリーマンショック級の下落も想定し、債券や現金の一部保有でリスク分散を行うことが重要です。
取り崩し戦略についても、20代FIREでは単純に4%ルールに従うだけでは不十分です。生活費が年間250万円であれば、資産1億円からの4%は年間400万円であり、余裕はありますが、暴落時やインフレを考慮すると、取り崩し額を変動させる柔軟性が求められます。
また、FIRE後に副業やパート収入を得る「ハイブリッド型FIRE」を採用することで、資産の取り崩しを最小化し、長期的な資産維持が可能となります。
さらに、20代は資産運用経験が浅く心理的リスクも大きいため、定期的に運用状況を確認し、取り崩し額を調整するルールを事前に作ることが推奨されます。
運用の基本方針
20代でFIREを目指す運用の基本方針は、成長性重視かつ分散投資です。具体的には、国内外の株式インデックスファンド、ETF、米国個別株を中心に、株式比率70〜80%、債券や現金比率20〜30%でポートフォリオを組むのが理想です。
長期的な複利効果を最大化するため、積立投資やドルコスト平均法を活用し、暴落局面でも買い増しを行う戦略が有効です。
また、資産の成長だけでなく、リスク管理も重要です。ポートフォリオの一部に債券や金などの安全資産を組み入れることで、暴落時の資産減少を抑制できます。さらに、生活費の変動や予期せぬ支出に備え、現金で半年〜1年分の生活費を確保しておくと安心です。20代は時間が味方なので、リスクをとった株式投資で高リターンを狙いつつ、暴落や心理的負担に備えた戦略を組み合わせることが成功のカギとなります。
取り崩し戦略
20代FIREの取り崩し戦略は、単に「年間生活費×25倍」の4%ルールに従うだけでは不十分です。若いうちは生活期間が長く、資産減少リスクも高いため、変動型取り崩し戦略を採用するのが現実的です。具体的には、株式市場が好調な年は取り崩しを抑え、暴落時は取り崩し額を減らすことで資産寿命を延ばします。
さらに、FIRE後に副業収入を得る「ハイブリッド型」や、生活費を最小限に抑える「リーンFIRE型」を組み合わせることで、資産を取り崩すペースを遅らせることが可能です。長期的な資産維持を目指すためには、毎年の取り崩し額を一定にせず、運用状況や生活費に応じて柔軟に調整することが重要です。
20代でFIREをするリスク
20代でFIREを目指す場合、資産形成期間は長くなる一方で、リタイア後の生活期間も非常に長くなるため、様々なリスクを十分に考慮する必要があります。
それぞれ見ていきましょう。
長生きのリスク
20代でFIREを達成すると、リタイア期間は60年以上に及ぶ可能性があります。この長期期間にわたって資産を維持することは容易ではありません。
若いうちは貯蓄が少なくてもFIREを達成できる場合がありますが、リタイア後の生活期間が長いため、計画よりも早く資産が減少する可能性があります。
長生きのリスクを軽減する方法としては、まずリタイア後も一定の収入源を確保する「ハイブリッド型FIRE」の活用です。副業収入や配当収入など、不労所得を維持することで、資産取り崩しの必要を減らせます。
また、取り崩し戦略を柔軟に調整することも有効です。市場が好調な年には取り崩しを抑え、悪化した年には生活費を節約することで資産寿命を延ばせます。さらに、長寿リスクを考慮して、FIRE後も節約や生活コスト管理を意識した生活設計を行うことが推奨されます。
インフレリスク
20代でFIREを目指す場合、長期間にわたる生活費の増加を考慮しなければなりません。
インフレリスクとは、物価上昇により、将来的に必要となる生活費が想定以上に増えるリスクを指します。若いうちにFIREしても、30年後、40年後には現在の生活費では生活が維持できない可能性があります。
特に、食費や光熱費、医療費などはインフレの影響を受けやすく、年々増加する傾向があります。
このリスクへの対策としては、資産運用でインフレに対応できる資産を組み込むことが重要です。例えば、株式やインフレ連動債、REITなどの資産を一部ポートフォリオに組み入れることで、インフレによる生活費増加に対応可能です。また、生活費試算の段階でインフレ率を年率2〜3%程度見込んだ計画を立てることで、将来的に資産が不足するリスクを低減できます。FIRE後も節約や生活コスト管理を意識することが、インフレリスクを最小化するポイントです。
予期せぬ支出リスク
FIRE後には、突発的な支出が発生するリスクも考慮する必要があります。
予期せぬ支出リスクとは、病気や事故、家電・住宅設備の修理・買い替え、急な冠婚葬祭など、計画外の出費が生活資金を圧迫するリスクです。
20代でFIREする場合は、リタイア期間が長いため、こうした予期せぬ支出の累積が資産寿命に大きく影響します。
対策としては、生活費の3〜6か月分程度の現金予備資金を確保することが基本です。また、医療保険や損害保険など、リスクに応じた保険加入も重要です。
さらに、生活費の取り崩し戦略で余裕を持った計画を組むことも効果的です。予期せぬ支出に備え、毎年の生活費の一部を緊急予備資金として積み立てることで、長期的なFIRE生活の安定性を確保できます。
心理的リスク
FIREは経済的な自由を手に入れることを目的としますが、若いうちにリタイアすると心理的な問題が生じやすくなります。
心理的リスクとは、孤独感や社会的孤立、自己実現の喪失感、目標喪失によるモチベーション低下など、心の健康に影響を与えるリスクを指します。特に20代でFIREした場合、同年代の友人はまだキャリア形成中であり、社会との接点が減ることで孤独を感じやすくなります。
このリスクへの対策としては、副業や趣味、ボランティア活動などで社会参加の機会を持つことが有効です。また、定期的な交流会や勉強会への参加、人とのネットワークを維持することも心理的安定につながります。さらに、FIRE後の生活に目標やミッションを設けることで、日々の充実感や自己実現感を保つことができます。心理的リスクを軽減することは、20代FIREを成功させるための重要な要素です。
暴落リスク
20代でFIREを目指す場合、多くの資産を株式や投資信託に振り分ける傾向があります。しかし、株式市場は短期間で大きく下落する可能性があり、暴落リスクを無視することはできません。
リーマンショックやコロナショックのような市場の急落は、資産の大幅な減少を引き起こし、FIRE計画を狂わせる可能性があります。特に取り崩し初期に暴落が発生すると、資産寿命が大きく短くなる「シーケンシャルリスク」にも注意が必要です。
暴落リスクへの対策としては、資産分散や現金比率の確保が有効です。株式だけでなく債券や不動産など、異なるリスク特性の資産に分散することでリスクを軽減できます。
資産形成までのステップ
20代でFIREを目指す場合、資産形成は計画的かつ戦略的に進める必要があります。
まず最初のステップは「収入の最大化」です。
20代はキャリアの初期段階であり、給与水準はまだ低いことが多いため、昇給や転職、副業による収入アップが資産形成の原動力となります。副業としては、スキルが生かせるプログラミング、動画編集、ライティング、デザインなどの仕事が人気です。副業収入を全額投資に回すことで、資産成長のスピードを加速させることができます。
2つ目のステップは「生活費の徹底的な見直し」です。
FIREを達成するには、支出を最適化することが不可欠です。具体的には、居住費の見直し、格安SIMやサブスクの整理、光熱費の節約、無駄な外食や娯楽費の調整が挙げられます。20代は生活スタイルを柔軟に変えやすいため、早期に節約習慣を身につけることで長期的な資産形成に大きな効果があります。
3つ目のステップは「投資戦略の確立」です。
20代であれば、時間を味方にできるため、長期成長が見込める株式やインデックス投資中心のポートフォリオが適しています。具体的には、S&P500や全世界株式インデックス、米国個別株などを組み合わせて運用する方法が有効です。投資の際は、暴落リスクや心理的リスクに備えて、資産の一部を現金や債券で保有することも重要です。また、積立投資を活用することで、ドルコスト平均法により市場変動の影響を抑えながら着実に資産を増やすことができます。
4つ目のステップは「リスク管理と保険の活用」です。
若いうちにFIREを達成する場合、長期間の生活を想定する必要があります。予期せぬ支出や医療費、死亡リスクに備え、必要最小限の医療保険や生命保険に加入することが推奨されます。過度な保険料を支払わず、バランスの取れた保障を確保することが、資産を守るポイントです。
最後に「メンタル管理と長期目標の設定」です。
20代でFIREする場合、同年代の社会人との生活リズムの違いや孤独感に悩むこともあります。副業や趣味、コミュニティへの参加などで社会的な接点を確保し、心理的リスクを最小化することが大切です。さらに、FIRE後の目標やライフプランを明確にすることで、日々の生活に充実感を持たせ、資産形成に集中できます。
これらのステップを順序立てて実行することで、20代でのFIRE達成は現実的になります。
重要なのは、早い段階から収入の最大化、支出管理、投資戦略の確立を同時進行で行うことです。若いうちに正しい習慣と戦略を身につけることで、長期的に安定したFIRE生活を実現することが可能です。
まとめ
20代でFIREを目指すことは、決して簡単ではありませんが、戦略的に資産形成を行えば実現可能です。
本記事で解説したように、FIREを成功させるためには、まず自分の年間生活費を正確に把握し、必要な資産額を算出することが重要です。独身か夫婦かによって必要資産は大きく変わるため、自分のライフスタイルに合った計画を立てることがFIRE達成の第一歩です。
20代は時間を味方にできるため、長期的な株式投資やインデックス投資を中心にポートフォリオを組み、積立投資を活用して複利効果を最大化することが資産形成の鍵となります。
若いうちにFIREを目指すことで、経済的自由を早期に手に入れ、仕事に縛られない充実したライフスタイルを実現できます。長期的な視点で資産形成と生活設計を行い、適切なリスク対策を講じることが、20代FIRE達成への最短ルートです。


